高校時代~美大進学を決めた理由~
高校は千葉県内の進学校に通っていました。
まわりは当たり前のように、高校1年生から予備校に行き“大学受験”のための勉強をしているという環境。
私はというと、成績は良くもなく、どちらかといえば出来の悪いタイプ。
「大学に行くために勉強して、大学に行っても勉強か…」
「もっと楽しいことないかな?」
というよこしまな気持ちで美大受験を決意。 笑
そして、卒業した後、一番就職先がありそうなデザイン科を選択。 笑笑
幼少期から物をつくったり、絵を描いたりするのは好きでした。
絵もそこそこ描けるし、行けるでしょ、とかなり安易に決めた進学でした。
そして、高校1年生の夏に美大予備校に通いはじめました。
入ってみたら、絵の上手い子がうじゃうじゃいました。
私は全然描けなくて、それが悔しくて、上手い人の絵を参考にしたりして、
ひたすら描きました。
苦しい時期もたくさんあったけれど、
同じ目標を持った仲間がいて、
目標に向かって頑張ることがものすごく楽しかったのを覚えています。
そして、無事に武蔵野美術大学(視覚伝達デザイン学科・通称視デ)に入学しました。
美大という環境が与えてくれたもの
美大の学生は“自分”を持った人が多かった気がします。
みんながやってるから、とか
なんとなく楽しそうだから、とか
そんなことで物事を決めるのではなく、
自分の好きなこと、自分が楽しいと思うこと、自分のやりたいことが明確にある。
ライバルは隣の学生ではなくて、自分。
だから人と比較しないし、人を妬まない。
そんな環境に4年間いたから、私は自分のやりたいことが見つけられました。
それが、ものづくりを通して子どもの可能性を伸ばしていきたい”ということ。
当時、障がいのある子どもたちを対象にした療育施設での造形ワークショップや、
大学の地域の子どもたちを対象にした造形ワークショップを企画していました。
そこでの経験が今の私につながっています。
療育施設での造形ワークショップで、あるお母さんがこんな話をしてくれました。
「造形クラスに行っていた時期と、ちょっと学校がつらい時期が重なっていたので、自分が目いっぱい出せて、すごく気持ちよかったようです。
あごを怪我したとき、お休みしようと思ったのですが、本人が泣いて「行きたいー!!」と頼んでくるほどでした。」
この時、私は子どもたちにとって、造形活動で自分を思いきり表現し、心を解き放てる時間が必要だと確信しました。
そして、造形ワークショップを通し、
子どもと関わるたくさんの方とお会いしてきました。
子ども関係の専門書を読みあさりました。
造形活動をする子どもたちの輝く目を見て、
造形活動は子どもに多くの学びを与え、
子ども自身が成長するきっかけとなると気づきました。
就職先は…
もっと、子どもたちにとって造形が身近になればいいと思い、
そのための仕事がしたいと思うようになりました。
ところが、そんな都合のいい就職先はなかなかありません。
なので、とりあえず子どもと関われる場所に…、と思い
卒業後は学童クラブの児童指導員として働きました。
ほぼ子どもと遊ぶことに明け暮れていました。
問題もいろいろ起こりました。
グループ内(女子)のいざこざから、迷子、不登校、発達に遅れのある子…
子どもたちの命を預かる仕事の責任の重さを感じながらも、
子どもたちとの信頼関係を築くことに、やりがいも感じていました。
働きながら、保育士資格を取り、土日には造形教室の講師のアルバイトもしていました。
4年間、指導員として働いた後、土日に働いていた造形教室(クリエイトキャンバス)の講師となりました。
1歳から小学校6年生までの子どもたち、当時は100名くらいの子どもたちが通っていました。
そこでは、年間のカリキュラムが意図を持って決められていました。
なんとなく作るものを決めるのではなく、
形(球・円・四角・三角…)をテーマに、
個人制作、集団制作、時には料理をつくることもありました。
1歳から通い、小学生まで続ける子も多くいました。
それでも、レッスンの内容は全て違うものです。
過去にやったことのあるものは1つもないのです。
同じ形のテーマでも、常に、新しい発見を得られるのです。
もの作りの過程をとことん楽しみ、
自分のアイディアを形にすることに試行錯誤する。
長く続けている子ほど、そんな姿が見られたように思います。
自発的に物事と向きあうことの大切さ
子どもにとって“経験”はかけがえのない財産です。
特に、幼少期の経験は大人になってからの、考え方や行動パターン、学習能力に影響を及ぼすといわれています。
幼い子どもでも、考えたり、工夫したり、新しい発見をすることはできます。
ただ、どうしても
私たち大人は、子どもに対して教えるということをし過ぎてしまうのです。
もっとこうしたほうがいい
それは違うよ
本当はこうよ
その教え過ぎは子どもの自主性を損ないかねません。
造形活動のいいところは、
何かを教えなくていいところです。
自分で気がつき、
自分で理解し、
自分で深め、
自分で成長していけるのです。
もちろん、きっかけづくりや手助けをするときもあります。
でも、基本的には子どもたちは自ら育ち、
まわりにいる“仲間”と共感し育っていくのです。
子ども自ら育ち、仲間と育っていく経験を
今の子どもたちはもっとするべきです。
なぜなら、これからはもっともっと
自主性や自発性の必要な世の中になっていくから。
AI時代が到来し、世界がフィールドになったとき、
自ら成長し、道を切り開く力が必要になるのは言うまでもありません。
私は、二人の子どもの母親でもあります。
自分の子どもに
そして、もっと多くの子どもたちに
好奇心や探求心をフル回転させ、自ら育つ経験をたくさんしてほしい…
そう思い、こども造形教室クノスペを主催することにしました。
Commentaires